血糖値正常値

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血糖値正常値

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血糖値の正常値 とはどれくらい? 血糖値が“高い” “低い”でどんな影響が?

公開日
更新日

 
執筆:山村 真子(看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
血糖値が高め、と言われても、健康診断での数値を見ると正常値よりわずかに高いだけ。
「これくらいならまだ大丈夫」と思ってしまっている方、いらっしゃいませんか?
 
血糖値はどういった基準で高めと診断されるのでしょうか?そして、なぜ高めだと問題なのでしょうか?
今回は血糖値全般について説明し、続いて「 血糖値の正常値 」について、解説していきます。
 
 

血糖値とは何か

 
血糖値とは血液中のブドウ糖の量のことを示します。このブドウ糖は身体のエネルギーとなって、全身に届けられています。身体の中では、血糖値が常に変動していますが、一定の範囲に調節されていて、生命活動が行われています。
 
実際には、膵臓(すいぞう)から分泌される「インスリン」と「グルカゴン」というホルモンの働きによって、血糖値が調節されています。たとえば、食後に血糖値が上昇しますが、その際にインスリンが膵臓から分泌されます。
 
すると、過剰なブドウ糖は血液中から細胞内に取り込まれ、エネルギー源となります。エネルギーに変換されなかった一部はグリコーゲンという貯蔵物質に変換されて、肝臓や筋肉に蓄えられます。そのほかのあまったブドウ糖は脂肪になり、脂肪細胞に蓄えられるのです。これが、血糖値が下がる仕組みです。
 
反対に、血糖値が下がったときには、血糖値を上昇させるためのしくみが働きます。血糖値が下がると、グルカゴンというホルモンが膵臓から分泌されることにより、肝臓に貯蔵されていたグリコーゲンを分解し、血液中にブドウ糖を放出されます。これによって血糖値を上昇させ、正常の範囲内に保っています。
 
糖尿病 あなたは大丈夫ですか?
 
 

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血糖を調べるとなにがわかる?

 
本来人間には、非常に狭い範囲内の数値に血糖値を管理する機能が備わっています。
空腹時ならば、体にためていたエネルギーを放出することで血糖値を上げ、食事後は、体にエネルギーをため込むことで血糖値を下げます。
 
しかし、糖尿病になるとこのコントロールがうまくいかなくなり、空腹時でも血糖値が高く、食後にはさらに血糖値が高くなってしまいます。
そのため、血糖を調べるということは、「血糖を管理する機能が正常かどうか」を調べている、という言い方ができます。
 
 

血糖値を調べるには?

 
血糖値を測定するためには血液が必要です。
正確な血糖値を見る場合、針を血管に刺して血を採取し、そこから血糖値を測定します。
 
健康診断などなら採血が一回で済むのでよいのですが、血糖値の測定を一日何回も行う場合、毎回腕に針を刺していては大変です。
 
そこで取り入れられているのが、「簡易血糖測定器」です。
 
これは、ごく少量の血液で血糖値を測ることが可能となっており、家庭でも簡単に血糖値を測ることができます。
方法としては、血糖測定専用の小さな針で指先や耳たぶなどを軽く差して血液を出し、測定器にその血液をしみこませて測定します。
 
糖尿病と診断された方の中で、「インスリン」という注射療法を行っている方のみ、保険適応にてこの測定機械を医療機関から無料で貸し出してもらえますが、インスリン療法を行っていなくても、自費で測定機器を購入することは可能です。
 
 

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血糖値の基準値

 
血糖値の基準値には、様々な状態においての基準値が設定されています。
そのため、ここではそれぞれの項目にわけて解説していきます。
 

空腹時

空腹時とは、「前回の食事から10時間以上たっている」状態をいいます。
空腹時血糖が126mmHg以上ならば、「糖尿病型」と診断され、糖尿病である可能性が極めて高くなります。
 
一方で126mmHg未満ならば、一度で糖尿病と診断されることはありませんが、
 

  • ・110mmHg以上~126mmHg未満は「境界域」
  • ・100mmHg以上~110mmHg未満は「正常高値」
  • ・100mmHg以下は「正常域」

 
とされており、「正常高値」の方の場合、25~40%の方が詳しく検査を行うと境界型もしくは糖尿病型と診断されるといわれており、「境界域」ではその確率がさらに高くなります。
 
そのため、「血糖値が高め」と言われている方は、すでに糖尿病となっているか、糖尿病に今後なる可能性が高いため、より注意が必要となります。
 
 

随時血糖

随時血糖とは、「食事とは関係なく測定した値」のことをいいます。
 
随時血糖が200mmHg以上だと、「糖尿病型」と診断されます。
他にも、随時血糖が140mmHg以上~200mmHg未満の場合は「境界型」とされ、今後糖尿病に進行するリスクが極めて高く注意が必要です。
 
 

75gOGTT2時間値

OGTTとは、糖尿病の確定診断を行う際によく行われている検査で、“前回の食事から10時間以上たった状態”で、75gのブドウ糖が入った検査専用の飲み物を飲み、2時間たった後の血糖値の値を測定します。
2時間後の血糖値が200mmHg以上だと、糖尿病と診断されます。
 
 

基準値より高いときのリスク

 
では、血糖値が基準値より高いとどういったリスクがあるのでしょうか?
 
糖尿病の一番恐ろしいところは、「血管を中から少しずつ壊していく」という点です。
 
血液の中に基準値以上の糖分があると、血液の流れはドロドロとなり、血管をつまらせてしまったり、血管の弾力性を低下させてしまいます。そのため、大きい血管だと脳梗塞や心筋梗塞を起こす原因となりますし、小さい血管だと腎臓、眼、神経などに障害を起こします。
 
このように、基準値より高いと様々な影響が出てくるため、糖尿病は「万病のもと」と言われており、予防および血糖値の管理が大切となっているのです。
 
 

基準値より低いときのリスク

 
では逆に、基準値より低い場合にはどういたリスクが出てくるでしょうか?
 
糖分は、体を動かすエネルギーです。そのため、基準値より糖分が少ないと体はエネルギー不足となり、低血糖症状としてめまいや一時的な意識消失などを起こします。
低血糖症状が進行すると、最悪死亡にもつながるため、特に糖尿病の方で薬を使って血糖値を下げている場合、薬が効きすぎていないかどうか注意する必要があります。
 
 

血糖値の異常により生じる病気

 
血糖値が高い状態が続くことで、糖をうまく身体が利用できない状態になると糖尿病を招きます。日本人の糖尿病を患っている方の9割は2型糖尿病といわれ、肥満、食べ過ぎ、運動不足、ストレスなどの生活習慣が誘因となって発症します。糖尿病を発症して、さらに血糖値のコントロールが悪い状態が続くことで、細い血管にも障害がおこり、目や腎臓、そして神経にも異常をきたします。
 
糖尿病の3大合併症といわれる「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」のことです。また、脳の血管が詰まる脳梗塞や、血管が硬くしなやかさを失い、血流が悪くなる動脈硬化のリスク因子にもなります。
 
 

血糖値と中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールの関係

 
糖尿病を発症すると、インスリンの分泌が悪くなり、脂質の代謝がうまくできなくなります。脂質の代謝が悪くなることで、血液の中の中性脂肪は増加します。また、それと同時に悪玉コレステロールであるLDLコレステロールも増えます。LDLコレステロールが増加することで、善玉コレステロールであるHDLコレステロールは減少し、動脈硬化を引き起こしやすくなります。
 
 

血糖値をコントロールする方法

 
血糖値が高く、糖尿病と診断された場合は、まずは食事・運動療法で治療を行います。食事・運動については、治療だけではなく、糖尿病の予防にも有効です。食事と運動療法で管理できない場合は、薬物やインスリン療法を行います。
 
○食事療法
糖尿病は、肥満があることで、インスリンが作用しにくくなり、糖血糖コントロールを悪化させます。肥満がある場合は、肥満の改善を行います。食事は、バランスよく、必要以上の栄養素をとらないようにすることが重要です。
 
主治医の指示した適切なカロリーに従い食事療法を行います。カロリーや血糖値を上昇させる糖質の制限を行います。また、血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維の摂取も積極的に行います。
 
○運動療法
糖尿病は運動不足とも大きく関係しています。運動を行うことで、血糖コントロールを悪化させる肥満の予防・改善になります。それ以外にも、インスリンの効きを良くすること、筋肉が糖を取り込み、血糖値を低下させる働きをするといった効果が得られます。とくに、歩く、軽いジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を行うことで、糖の消費を行いやすくなります。
 
○薬物療法
食事・運動療法で血糖値が安定しない場合は、薬物療法を行います。3つの働きの薬にわかれています。

  • (1)α-グルコシダーゼ阻害薬:食事後の時血糖値の上昇を緩やかにする薬
  • (2)スルフォニル尿素薬:すい臓に働きかけ、インスリンの分泌を促す薬
  • (3)インスリン抵抗性改善薬:インスリンの効きが悪い場合に使用する薬

 
血糖値の上がる原因や上がり方の特徴によって薬が処方されます。
 
○インスリン療法
インスリンを注射し、補うことで、血糖値をコントロールする治療法です。膵臓のインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病の場合は、インスリン治療が基本となります。1型糖尿病の場合は生命維持のために必要となります。
 
2型糖尿病の場合は、膵臓からのインスリンの分泌機能は残っているため、すぐに命の危険はありませんが、食事・運動・薬物療法でうまく血糖値の管理が出来ていない場合は、インスリン療法を行うこともあります。
 
 

血糖値を正常に保つためにできること

 
糖尿病の有無に関わらず、血糖値を一定に保つことが大切です。食事、運動、休養、やストレスなどの生活習慣が大きく関わってきます。以下の10の生活上の留意点を参考に、糖尿病を予防しましょう。
 
○生活上の10の留意点
 
1.バランスの良い食事を心がける
ごはん、パン、麺類などの炭水化物の摂り過ぎは、血糖値を急激に上昇させやすい食事です。また、1食の中で炭水化物に偏った食事でも血糖値は上がりやすくなります。
 
炭水化物に偏った食事でなく、肉、魚、卵、大豆製品などのメインのおかずや、野菜、きのこ、海草類などのサブのおかずも組み合わせて摂ることが食事の摂り方の基本です。組み合わせてとることによって血糖値の上昇も緩やかになります。
 
2.食物繊維の多い野菜、きのこ、海草類をたくさん摂る
野菜や海草類に多く含まれる食物繊維は、糖の吸収を緩やかにする働きがあり、血糖値の急激な上昇を抑えます。食物繊維の多いごぼうやオクラなどの野菜、きのこ類、わかめ、もずくなどの海藻類を毎食意識して摂りいれる習慣をつけましょう。
 
3.食事は野菜や海草類から摂る
炭水化物から食事をとると急激に血糖値が上昇しやすくなります。食物繊維の多い野菜や海草の小鉢から食事を摂ることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
 
4.炭水化物の質を考える
炭水化物には精製されたものと未精製のものがあります。白米、小麦粉を使用した白パン、うどんなどの精製された食べものは、栄養分が取り除かれていて、血糖値が一気に上昇しやすい食品です。
 
逆に玄米、ライ麦、大麦などの未精製のものは、食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養分が残っている状態で、血糖値が緩やかに上昇します。炭水化物の量だけではなく、質にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
 
5.菓子類、ジュースなどは控える
とくに甘いお菓子や清涼飲料水などのジュース類は砂糖が多く使われており、血糖値を上げやすい食品です。また、油で揚げたスナック菓子等はカロリーも高く、肥満の原因にもなります。
 
菓子類は量を決めて楽しむ程度にしましょう。ジュースなどの甘い飲み物も糖分が多く含まれ、吸収も早いので、血糖値を上げやすい食品です。水分の補給は、糖分を含まない水やお茶などで行いましょう。
 
6.ゆっくりよく噛んで食事を摂る
ゆっくりよく噛んで食事をとることは、血糖値の上昇が緩やかになります。また、早食いは食べ過ぎや肥満にもつながります。食べ過ぎや肥満は糖尿病のリスクにもなります。
 
7.運動不足を防ぐ
運動不足は筋肉の低下、糖の代謝の低下を招きます。運動習慣をつけることをお勧めします。とはいえ、なかなか運動を日頃から行えない場合も多いかと思います。そういった方は、日常生活の中で歩く量を増やすなど活動の量を増やしましょう。
 
8.食後にこまめに動く
食後は血糖値が急激に上昇します。その時間にこまめに動くことで、糖の代謝を助け、急激な上昇を防ぎます。食後に座ってダラダラするのではなく、家事をする、歩くなどこまめに動きましょう。
 
9.しっかり睡眠をとる
睡眠不足はインスリンの効きを悪くするホルモンを分泌させます。また、食欲を増進させ、肥満のリスクも上がります。
 
10.ストレスをためない
ストレスがかかることで、血糖値を上げるホルモンが分泌されます。また、インスリンの効きも悪くなります。日頃からストレスをためない生活を心がけましょう。
 
 

「 血糖値の正常値 」 まとめ

 
糖尿病の場合、一部を除いて多くは遺伝によって発症しやすくなると言われています。
これは血糖を調節する機能がもともと弱い遺伝があるということと同時に、親から引き継がれた食生活や運動習慣がそのまま子供にも受け継がれるから、ということもあげられています。
 
血糖値を正常に近づけるためにも、ぜひ今日から「規則正しい生活」を心がけてみてくださいね。

 

【参考】
『病気がみえる 糖尿病・代謝・内分泌』(メディックメディア)
 
<執筆者プロフィール>
山村 真子(やまむら・まこ)
看護師・西東京糖尿病療養指導士、一児&犬二匹の母親兼主婦。現在は医療系ライターとして執筆活動中
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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